大判例

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水戸家庭裁判所下妻支部 事件番号不詳 判決

被告人 岡田みよ子

主文

被告人を罰金六千円に処する。

右罰金を完納することができないときは金参百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は昭和三二年三月に廃業するまで茨城県古河市大字東一八三番地において夫大作の名義で料理店「福寿美」を経営していたものであるが、女中として雇い入れたM(昭和一六年一〇月二二日生)について適切な年令確認の方法を尽さず、昭和三一年二月二九日から同年四月二日までの間前記店舗において氏名不詳の多数の客と三十数回にわたつて売淫をさせ以つて満一八才に満たない児童に淫行をさせたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷の供述

一、Mの司法警察員に対する供述調書謄本

一、同人の戸籍謄本

一、証人Dの当公判廷の供述

一、押収にかかるノート三冊

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の司法警察員に対する供述調書

(法令の適用)

被告人の判示行為は児童福祉法第三四条第一項第六号、第六〇条第一項に該当するので所定刑中罰金刑を選択し、所定金額の範囲内で被告人を罰金六〇〇〇円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法第一八条により金三〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用の負担については刑事訴訟法第一八一条を適用して主文のとおり判決する。

なお弁護人は本件児童Mなる者は戸籍上の性別は男となつているから被告人は結局Mという女性の年令を確認することが不可能であつたと言わなければならず従つて本件は無罪であると主張する。そこでこの点について考えて見ると、Oを筆頭者とする戸籍にはMの続柄は五男と記載されていることは弁護人主張のとおりであるが、証人Dの供述及びOの司法巡査に対する供述調書謄本によれば、Mは真実はOの長女として出生したものであるところ誤つて五男として記載されたものでありこの事実は同女の居住していた○○町役場戸籍関係においても知つており、且つ住民登録には長女として記載されている事実が認められる。而もMという名は通常女性に用いられるところからしてももし被告人において、戸籍抄本を取り寄せた結果、その点に不審を抱けば住民登録を調べるなり、○○町もしくは本籍地役場に照介する等の手段をとれば、右戸籍の記載が誤りであるということを比較的容易に知り得ることができる状況にあつたものというべきである。そして児童の年令確認の方法としては戸籍簿のみが唯一のものであり、且つそれのみを以て足るものとはなし難く、本件戸籍簿の生年月日の記載については誤りがながつた以上、被告人として本件児童の年令を知ることが不可能であつたとは言い難いから、右弁護人の主張は採用することができない。

(裁判官 海老原震一)

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